超時空要塞キクロス

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子どもに詩を作らせるな

前項、小生はかなり薄ぼんやりとした子どもであって「遅れている(今は放送禁止用語だろうか)」と思われて致し方ないところもあったと思う。が、おとなを議論で言い負かせることはできないにしても、反論を試みては叱られたという思い出は誰にでもあるだろう。子どもはおとな、特に親に対して複雑な思いを、いつかは抱くようになる。反抗期という形で。

 

さて、次は丸谷才一の「子どもに詩を作らせるな」を載せる。

子供たちに詩の作り方など教へる必要はない。もちろん、文章がきちんと書ける子供なら、優れた詩をたくさん読ませれば、自然と詩の真似ごとのやうなものを書くことはあり得る、それはそれで結構である。そのなかには本ものの詩を書く子供もごくまれには出るかもしれない。まことに結構な話だ。しかし、百万人に一人の天才を得るために、日本中のあらゆる子供に対し、インチキきはまる詩の作り方を教へねばならぬ道理があらうか。

丸谷は、とりあえず子どもたちが目指すところは、字を覚え、語彙や言い回しを身につけ、また筋道を立てられる論理的な作文が書けるというのが初等教育に求められるものである。誤字脱字のない語法の正しい散文を目指すべきであって、洗練された詩を作るなんていうのは無理だと言いたいのである。※詩としてあるが、今流行りの俳句でも同様。子どもが作ったもので、ハッとする瞬間はあるけれど、それは実力でなく、たまたまの場合がほとんどである。

小生、この文章を読みながら綿矢りさのことを思った。十代で『インストール』『蹴りたい背中』という名作を書き、今でも小生は読み直す。彼女こそ天才だが、小中学生が皆、綿矢を目指す必要などどこにもないのである。