超時空要塞キクロス

キクロスとは菊池市生涯学習センターのことです。友の会の会員が除名覚悟で書いております。

山梨県立美術館と熊本県立美術館

山梨県立美術館と熊本県立美術館がほぼ同時期に開館した。1970年代半ば。
両館、対照的な策戦をとった。
山梨:県知事も真っ青になるような大枚をはたいて、ミレー「種まく人」を購入した。もう日本にお馴染み。岩波書店のマークにもなっているし、ゴッホも傾倒して、似せた絵を描いた。
熊本:節約して版画を買った。本当はゴヤの油絵が欲しかったのだが版画は複数枚流通するから安価で手に入る。ゴヤの版画は物語性があって味わい深い。版画でもゴヤゴヤ
ビジネス面ではもちろん山梨の勝ち(という言い方も変)だが、熊本も悪い考えではない。山梨には危険が伴う。ミレーの、という枕詞がついてしまい、多様な美術展を開くことができない恐れがある。もし、アメリカンポップアート展なんてやったら「似つかわしくない」なんて言われるかも知れない。熊本は待つことができる。つまり色んな美術展を開催しながらトレンドを探ったり、今後の美術館のあり方を模索していくことができる。

以上は10年前に書いた。

美術館収蔵品を収めた作品を掲載したパンフを眺めるとゴヤの版画が一点しか掲載されていない。職員さんも分からないと言う。学芸員さんに問い合わせるとゴヤの版画は80点ほど収蔵はあると言う。すっかり忘れられてしまったのか。

これは数年前、熊本県立美術館で海老原喜之助回顧展に行った時に書いた。

 

熊本県立美術館は浜田知明の版画がある。ゴヤとリンクさせて面白い試みができると思うのだが、相変わらず印象派か、細川コレクションか、漫画・アニメ展しかやってない。

冒険が怖いのか、まったく熊本はつまらない美術館になってしまった。

※下は浜田が戦時中の思い出をベースにした作品。

[追記]ゴヤも浜田も版画にストーリー性がある。