互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
吉野弘「祝祭歌」より
若い二人が結婚するに当たって挨拶代わりに、挨拶を想定して作られたものだと思われる。
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすい
漱石は『草枕』でこれを"智に働けば角が立つ"と書いた。ひろゆきが「論破なんで実社会でやるもんじゃない」と言っているのは、恨みを買うから。いつかどこかで誰かが揚げ足を取ってやろうと待っているからである。
組織を運営する上で、"情に棹せば流され"ない程度に少々寛容であることは必要である。
小生『草枕』をいい小説とは思わないが、名文の集合体だと思っている。
※吉野弘 祝祭歌 で検索すれば全編読めます。