超時空要塞キクロス

キクロスとは菊池市生涯学習センターのことです。友の会の会員が除名覚悟で書いております。

田辺聖子『むかし・あけぼの』

光る君へ を見る時に… - 超時空要塞キクロス (hatenablog.com)

これを書いてひと月経った。実に短い1か月だ。

以下、数か月前に書いていた・・・・・・・・・・

田辺聖子『むかし・あけぼの』について記しておきたい。
元々角川の「野性時代」誌に連載されていた小説で、主人公は清少納言である。角川文庫が廃刊になって惜しいと思っていると文春文庫から再刊された。ちなみに小生の手元にある角川文庫版の上巻が(昭和60年第1刷)平成20年度の39刷。つまりかなり売れ筋だと見ていいと思う。おそらくは一般の田辺ファンに加え、高校や大学の先生が生徒・学生に薦めているということなのだろうと思う。

清少納言の夫・橘則光がなかなかのキャラクターで、魅力的である。何かと武張ったことの好きなこの男と、文学畑の清少納言が合いそうにない。実際にトンチンカンな関係なのだが、身体の相性がいいということになっている。

「十年も、おれのためになにやかにやしてくれたんだ。今後十年はお前の好きなようにしろよ。ふっと、そんな気になった。宮仕えを十年しろよ。」と、則光が中宮定子への出仕を認める。
未完成の『春はあけぼの草子』が回し読みされ、中宮清少納言(通称:海松子=みるこ)に遭う前から興味津々だったという設定である。

清少納言橘則光との間に実子はいなかった。
・「楽しいことだけ考えていたい」という前向きな海松子。
・定子亡き後も、忠実な女房であり続けた。
こういった田辺文学観が満載された傑作である。お薦めします。

・・・・・・・・・・ここまで4月に書いていた。

清原深養父(祖父か、曾祖父か不明)、清原元輔(父)は歌人として有名人だから、中宮定子(ていし/さだこ)に仕える時は、かなりプレッシャーはあったはず。ドラマの上では、定子は亡くなっている。

光る君への次回(32)が、まひろが乙丸たちに別れを告げるシーンだったから、もう一人の中宮である彰子(あきこ/しょうし)の教育係として、あるいは諸々の相談相手として仕えることを示唆している。紫式部もまた、為時の娘として能力は問われたはずである。