超時空要塞キクロス

キクロスとは菊池市生涯学習センターのことです。友の会の会員が除名覚悟で書いております。

佐藤優氏とご友人

『友情について』講談社

<僕と豊島昭彦君の44年>というサブタイトルが付く。

手に取るのがためらわれるくらい、ド直球の表題である。

豊島氏とは高校1年の時に同じクラスで仲良くなり、1年間は友情を育んだが、その後は疎遠になっていたそうである。

が、『先生と私』『十五の夏』で豊島氏の名前は固有名詞で出て来る。読書家である豊島氏は当然のごとく、再会前にこのことを知っていた。

高校卒業後、お互いに顔を合わせる機会はなかったが、再会時に豊島氏は病魔に冒されていた。来し方を振り返るような本を作成しようと佐藤氏は提案する。

銀行に勤務していた有能なビジネスマンであったが…。

 

豊島さんの部下でした。
いつも穏やかでニコニコしていてしっかり仕事している最高の上司でした。
会社を辞めた後のことは本で知ることとなりましたが、慚愧に堪えません。

 

というレビューがAmazonにあり、多分嘘ではないだろうな、と思う。中身については詳しく触れません。上梓した時点ではまだ豊島氏は存命だったが、2か月後に亡くなったようである(委細を書いたものを未読なので「~ようで」という表現を使っている)。

従来の佐藤氏のノンフィクションとも自伝的なものとも違う異色作である。

人間は危機に陥ったとき、どう行動すべきか、というようなことを佐藤氏は度々書いている。その実録版、しかも自分ではなく自分の友人のとった選択について当てはめて考えている。

小生もこうしてブログを書いているが現在進行形で苦境にある。書いてある内容はかなり実に染みた。

万人にお勧めはしないが、40を過ぎて「今職場で苦しい立場にある」という方には一読されてみてはいかがだろうか。