超時空要塞キクロス

キクロスとは菊池市生涯学習センターのことです。友の会の会員が除名覚悟で書いております。

電通マンボロボロ日記

電通マンボロボロ日記/福永耕太郎(三五館シンシャ)

以下の様な内容のものを【菊池市 みんなの図書館】広報紙に掲載させてもらった。

三五館シンシャは『ケアマネジャーはらはら日記』に続いて二冊目だろうか。従来はうだつの上がらない人たちが、仕事と日常を赤裸々に描いていくというコンセプトのシリーズ物のようだが、これはバリバリ一線で働いていた電通マンの没落を描いてある。面白いし、ためにもなる。
大学を卒業して、電通入社。付き合っていた彼女と結婚、三人の男の子ができて皆大学を卒業する。順風満帆であるが、仕事上の付き合い、いやそれ以上に接待され、また接待もし、電通だけに一般企業のそれとは桁外れである。しまいには金銭感覚がおかしくなり、妻と熟年離婚する羽目になる。ついでにアル中になる。もっとも私生活のほうは本書のオマケ的な部分で、広告業界とテレビ・新聞業界の裏話がメインである。C社、S社などとイニシャルで企業名も出て来るが、読めばどの会社のことを指すのか、よほど世相に疎い人でない限り推察は容易である。日本経済の成り立ちの一部が非常に良く分かる。一読をお薦めしたい。

広告はカネが掛かる。大々的にTVCMを流したいと宣伝部が(あるいは社長でもいいが)思っていても経理部が待ったを掛けることが多いはずである。一時期、民放を点ければ「ハズキルーペすごい」ばかりやっていたが、収益は上がるのか。あれは企業の命運を賭けた一かバチかの大勝負だったと思う。
とにかく、広告は大きくカネが動くだけに、当たればでかい。上述のように接待、コネ、ゴリ押し…何でもありの世界である。それらにリアルに関わった人間が書いているのである。面白くないはずがない。

最後は自身の落ち目と同時に、世間の目が厳しくなり、残業に制限が掛かるなど縮小していく電通の姿も書かれている。以前ほど社会への影響力がなくなってきているのも、また事実だろう。テレビ自体見る人が減っている。youtubeやネトフリなどにすり替わっている。
ただ、これは一電通マンの書いた本に過ぎない。実際はもっと違った広告社の姿があるはずだ。福永さんに刺激を受け、また違った観点から、裏の世界を描く元電通の作家が現れることを切に願う。

以上のような内容である。読み終えた感想を書いただけで、寄稿したものとはまたかなり違う。

 

  • それから世間を震撼させた、あの「事件」についても、その後の影響などについて、糊塗せずに述べている。このことを評価したい。
    ・・・・・・以上の意味のことを原稿に書いたが、紙面からは削除されていた。書いた人間としては残念至極ではあるが、そこは編集部の判断なので致し方ない。世間を震撼させた事件というのは、分かりますよね。分からない人は、忘れておられるだけでしょうから調べてください。「ああ、あの事件ね」とご理解いただけるでしょう。
    ただ、小生としては、本書を手に取ってくださる人が多ければ嬉しい。電通という企業の影響力を知っている人でも「ああ、現場ではこうなっているのか」と興味を持っていただけるし、もちろんよくご存じない方にも刺激的な一冊だろう。はっきり言えばTVの世界を牛耳っていると言って過言ではない。

※できれば熊本県菊池市周辺にお住まいの方に読んでいただきたい。そしてコメントなりなんなりが欲しいと思っているが今のところ皆無。まあ、菊池市に無縁の方でも歓迎はします。下記のツイートを読んでいただければ幸いです。エグいことを書こうと思っています。弊ブログと並行して読んでいただければ嬉しいです。

池部 秀則 (@kumayom0310) / X