超時空要塞キクロス

キクロスとは菊池市生涯学習センターのことです。友の会の会員が除名覚悟で書いております。

Re:小学生のつまづきやすいところ(公開します)

ある日、光輝君は意を決して、幼なじみで同じクラスの三郎君に相談、いやお願いしました。「三郎、頼みがある。算数を教えて欲しい。」
三郎君は(勉強嫌いのコウちゃんが何で?)というような顔をしています。
「今度のテストで点数が悪かったら親に塾に入れられる。俺は学校の勉強でさえ苦痛なのに、塾にまで行って勉強したくないよ。」そして「三郎は勉強が得意っていうだけじゃなく、他のヤツに教えるのもうまいだろう。もう頼めるのは三郎しかいないんだ。剣道辞めてヒマなんだろ。」と言いました。
剣道は辞めましたが、他にやることがあるわけで、最後のひと言に三郎君はムカッとしましたが、それに気が付く光輝君ではありません。「分かった。4時に市立図書館のロビーな。」と言ってくれたことに安堵しました。

放課後、図書館のロビーで臨時算数教室をすることになりました。もちろん三郎君が先生、生徒はコウちゃんです。

光輝君は、割合と速さが分からないのです。三郎君は具体的な問題の解き方を教えてくれるわけではありません。
「コウちゃん、いいかい。俺が分からなくなったら、公式を思い出すんじゃなくて、具体的で簡単な数字を思い浮かべるようにしているんだ。・・・・・」

時速4kmで3時間歩くと、歩いた距離は12kmになるよね。
そのままノートやテスト用紙の空いたところに、
「時速4km×3時間=12km」って書くんだ。
これを“速さ×時間=距離”って考えるよりも、4×3=12って考える方がいいと思うんだ。
距離÷時間=速さ とか 距離÷速さ=時間 とか覚えるよりも、よっぽどいいよ。
教えられた通り、「時速4km×3時間=12km」と書きました。


割合についても同じです。
「10円の4割は4円」
「1000円の4割は400円」
「2000円の4割は800円」という具合に、簡単で分かりやすい数字を使って、"もとになる数字”が変われば、割合は変わらなくても、表す数字が変わるんだ、ということを意識するんだそうです。
なんだか前田先生よりも、三郎君の話の方が納得がいきます。


テストの時、光輝君は名前を書いた後に、用紙の空欄に
「時速4km×3時間=12km」「2000円の4割は800円」と書いてから問題に臨みました。カンニングではありませんが、光輝君にとってはカンニングペーパーに似た強い味方です。


計算間違いが少しありましたが、かなり良い点数です。先生も誉めてくれました。「三郎は先生よっか教え方うまいんです。」とこれまた、光輝君は光輝君らしい空気を読まないセリフを口にしてしまいました。