５年生だった。ソフトボールの試合で負けた。散々な負け方である。
小生のエラーというより、とにかくボールを追う気力がなかった。失点を重ねたのは小生が原因だろう。途中から降ろされ、下級生と交代である。せっかく野球の大会が終わってホッとしているところだったのだ。
考えてみれば、向こうは小学校の代表チーム。こっちは小さい地区の代表というより、９人１０人を集めるのがやっとだったのだ。仕方なくチームに加えられているだけの小生である。しかし人数は少ないながら内野とバッテリーの６人は上手かった。気合いも十分。何せ昼は高校野球を見て、夜はプロ野球を見て、その合間に野球をして遊んでいるような６人である。試合後、小生がその６人から罵られたのは当たり前のことなのだ。
帰宅してから涙がこぼれた。
「どうしたの？」と母に訊かれ
「審判が向こうに有利な…」と言うと
「あんたがエラーして負けて、皆から責められたんだろ？」
全部バレていた。
自分が『セッちゃん』に惹かれるのは、こういう経験があったからなのだ。
