2024-08-24 斎藤茂吉 ひたぶるに暗黒を飛ぶ蠅ひとつ 障子にあたる音ぞきこゆる 真っ暗な、それもひたすら暗い中で蝿が飛んで障子に当たったであろう音が聞こえる。というそれだけ。 ではなぜ暗いのか。ひとり考えごとをしているからである。そして蝿の障子に当たる音が聞こえるくらい静かでもある。余計な考えを巡らす自分と、無駄に身体をぶつけてしまった蝿と似ているではないか。というのが小生。 「暗黒を飛ぶ」に自らの生との同調があって世界の深さを感じさせるが穂村弘の解釈。 こうして短歌は遊べる。