超時空要塞キクロス

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コンビニ人間

村田沙耶香が、この間ラジオに出演していた。
小生は自家用車では専らNHKのR2を聴いている。ポルトガル語講座の舞台がリスボンでなく、リオデジャネイロだったり、サンシャイン池崎を起用した小学生向けの英語講座があったり、古典文学の朗読が加賀美幸子だとか、色々工夫がみられる。
村田が出ていたのはビジネス講座だった。管理職向けの心構えや、独立し起業する心得だったりする。番組の狙いは『コンビニ人間』を通して、人と仕事との関わりを考えようとするものだったようだ。一部しか聴いてないのできちんと把握していないことはお断りしておく。
コンビニ人間』は非常によくできた小説で(あざとい、という評価もあるが)、他ではぱっとしない、変人の恵子は他にあてもなく、コンビニでバイトを続けている。といってもバイトで収入が少ないということに不満があるわけではない。天候から今日は何が売れそうか考えるという、コンビニの店員としては優秀な部類である。そこに白羽という闖入者が現れ、恵子はコンビニのバイトを辞めざるを得なくなる。職を求めて面接へ向かおうとする途中で訪れたコンビニで、いかに自分にとってコンビニで働くことが意義深いものだったかを知る。
これはコンビニだけでなく、たとえ給料含めた待遇がよくない職場であっても、仕事に熱意を持った[介護人間]、[清掃人間]、[ゴミ回収人間]が大勢いて社会を支えていることを示唆する。

ラジオでは、コンビニのバイトを長く続けた作者に、バイトを通して学んだこと、日頃の生活について訊くだけでなく、プライドだけは高く、勤労意欲も薄い白羽が果たして「○○人間」として再生する機会はあるのか、などを話していた。残念ながら時間に猶予がなく、全部聴けなかったが、なかなかおもしろい企画だった。

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これは村田沙耶香芥川賞を獲って間もない頃に書いたもの。ここ15年くらいの芥川賞 - 超時空要塞キクロス (hatenablog.com)

 

[追記します]

キクロスこと菊池市中央図書館にあるこの本。とてもユーモラスで面白い。

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